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ブランド価値=企業の価値
こんにちは、imoekatです。
今回は、ワーゲン事件、ワタミに見るブランド価値の危険性についてです。
この記事で言いたいことは「ブランドとは信用であり、信用は容易に反転するということ」です。
現在、株式市場において株価の裏づけになっているモノは何だと思いますか?
昔はその企業が保有している現物資産でした。
例えば、10億円分の土地不動産、工作機械、現金、有価証券、など現物資産を持っている企業が10000株発行していれば
1000000000÷10000=100000円 つまり、一株10万円の価格が適正ということです。
これは、PBR1倍という状態になります。PBRについてはリンクを参照下さい。
これ以下の例えば8万円の株価がついていたとしたら、その時点で企業を清算すれば差し引き2万円の利益が出るということです。
お分かりのようにPBR1倍以下ということは、確実に損をしない価格ということになります。(時価評価前提で)
昔ながらのベンジャミン・グレアム式バリュー投資とは、このPBR1倍以下(その時点で企業を清算しても利益になる状態)の企業を買っていくという投資法です。
こんな企業があれば是非投資したいですよね?ほとんど負けない投資になるはずですから。
しかし、現在PBR1倍以下の企業はほぼ全滅しました。逆に1倍を下回る企業があったとしたらそれは重大な問題を抱えている企業の可能性が高いです。
今は、PBRが大体、2倍から3倍の企業が多く、成長企業などは4倍以上ということも結構あります。
つまり、その企業をその場で清算したとしたら株価の半分以下しか返ってこないことになります。では、残りの価格分はなんなのでしょうか?
ここが「ブランド価値」です。会計などの世界では「のれん」とも言われています。
このブランドが何故付加価値を付けられるのか?
例えば、ここに全く同じスペックのスマホがあるとします。
一方は、無名のブランド名が付けられ価格は2万円です
一方は、アップルのロゴが付けられていて価格は8万円です。この場合、あなたはどちらを買いますか?
ひねくれモノか、正確な情報を仕入れ自分で判断を下せるような人以外はアップルの方を選ぶはずです。
ここでの差額6万円がブランドの価値です。つまりアップルの製品なら機能もサポートもいいだろうし製品にも間違いが無いだろうという「信用」です
ここまでの説明でお分かりになったと思いますが、現在の株価は現物資産よりもその企業のブランド価値からなっている部分が大きいのです。
VW(フォルクスワーゲン)、ワタミの失敗
VWの場合
今回、問題になっているフォルクスワーゲン(以後VW)の違法ソフトウェア使用による規制逃れは、VWのブランド価値を根本から傷つける恐れがあります。
課徴金の予測が2兆円を超えるとかその他訴訟等のリスクが盛り沢山とかは勿論小さなことではないですが、VWにとって最も痛いのはブランド価値へのダメージです。
ぶっちゃけブランド価値へのダメージのない不祥事や外部事由での株価下落は絶好の買いのタイミングなのですが(これに関してはまた後日記事にします)、今回のVWの場合は致命的なブランドへのダメージになりかねないので手出しは無用の企業と私は判断しています。
車はただでさえ世界中で利用され、様々な産業にも影響の大きい業種であり人の命、地球環境等、笑って済ませられない問題にも近い業種です。
そこに単なるミスではなく「意図的」に誤魔化し消費者を騙すような企業と評価されれば今後VWの車を買う人は激減するでしょう。これは、本業が巨額の赤字に陥ることを意味し下手するとVWが存続できるか?というところまで及ぶ大きな問題になると思います。
折りしも、トヨタを抜いて販売台数トップと報道があった直後にこの問題発覚はそれまでのブランド価値を逆転させるタイミングとしては最悪だと思います。(色々実績のあるアメリカが絡んでのことなのでエグイなーとも思いますが 笑)
「ブランド=信用」です。そして信用を積み上げるには長い年月が必要ですが、信用を失墜させるのは一瞬なのです。
これは個人間も同じですね。
VWは、大きすぎる図体の上に評価の高い「信用」を積み上げてきました。それが世界一の売上に繋がりましたし、数々の有名車メーカーを吸収してきた原動力です。
しかし、今後は「その大きすぎる図体×信用の失墜」という掛け算でブランド価値が逆回転し始めると考えられます。今後は、注視する必要がありますがかなりのダメージは避けられないと私は見ています。
ワタミの場合
ワタミに関してもずっと右肩上がりで売上を伸ばして来ていたところに「ブラック企業」という評価をされ、その後売上激減、店舗削減、介護事業の売却模索と良いとこなしの状況に追い込まれています。
ワタミの失敗は、従業員の扱いに関しての配慮が足りない+トップのキャラクターが大きな問題になったと私は思います。
恐らく、飲食という業界的に長時間労働は当たり前であり、トップである渡邉美樹氏は、自身の成功体験から出来ないのは個人の頑張りが足りないからだと思い込んでいたと考えられます。
そんな業界常識とトップの成功体験の押し付けから配慮の欠けた発言や対応に繋がり、予想外の世間からの反発を受けたと・・
更に、渡邉氏の空気の読めなさ加減も半端なく議員に立候補しちゃうもんだから「アンチワタミ」を世間の常識にしてしまった感があります。
ここでの「ワタミ」の失敗ポイントを二つ挙げると、
1 VWと同じく飲食の中ではそこそこの巨人になってきたタイミングで本業に関わる大きな信用失墜の出来事があり、
2 「ワタミ=渡邉美樹氏」と不可分と評価されてしまったことです。
特に2は、ワタミ自体がどんなに改善をしても渡邉氏のイメージが回復しない限りワタミのイメージも悪いままということになります。
ワタミ=渡邉美樹氏というイメージは、プラスに働いている時はいいのです。「青年社長」という渡邉氏をモデルにした小説では素晴らしいサクセスストーリと不屈の経営者というイメージでカリスマ的な人物と評価されていますし・・その社長が率いる企業としての「ワタミ」はそのプラスイメージで繁盛していた時期も実際ありました。しかし、そのイメージは逆転しもう復活は厳しい状況です。渡邉美樹氏のキャラも今後変わらないでしょうし・・
ワタミも今後企業存続の危機にまでいくかも知れません。復活する為には、社名、屋号から渡邉美樹氏を連想する言葉を消し去り、完全にイメージから切り離した企業として再起するしかないと私は思います。
株投資時の注意点
現在の株価の裏づけがブランド価値であり
ブランド価値=信用であり
信用は積み上げるのは大変だが、失うのは一瞬である。
そして、失った信用を復活させることは非常に難しい。
という話を今回しました。
あなたが、今後企業の株を買うときもブランドを意識して下さい。そして何か問題が起きた時にその影響はブランド価値までダメージがあるか?が問題です。
ブランドが傷ついたと判断したら問答無用で撤退です。復活の目は当分ありません。
逆に強力なブランド力を持って維持している企業の株は利益率も高く安心して保有できるということです。
それでは、また!