こんばんは、imoekatです。
先日、英国の企業であるARMを買収したソフトバンクですがその買収金額もさることながら英国の誇りともいうべき企業を買ってしまったことはEU離脱ショック覚めやらぬ英国人にはショックだったでしょう。
そして、これを見て私は「孫社長は稀代のギャンブラーである」との思いを再確認しました。
「ギャンブラー」・・・この言葉を私は否定的な意味で普段使っていますが、今回に限っては肯定的な意味です。
孫さんの場合、全く見通しの無い中での運否天賦というギャンブルではありません。恐らく今回も孫さんなりの洞察、経験を元にした見込みの上でのギャンブルなのだと推察します
以下でその私なりの推察を少し書いていこうかと
ARMってなに?
ARMは知る人ぞ知る半導体会社です。
しかし、この会社は工場を持っていません。製品を作って売るメーカーではないんです。
では何を売っているのか?
ARMは半導体の上に乗る回路情報をライセンス化して、そのライセンスを半導体を実際に作るメーカーに売っているのです。
つまり、製造工程の一番上!
通常、製造工程の上流であればあるほど価格決定力があります。つまり、利益率が高いビジネスをしているということ
実際、ARMの営業利益率は実に50%近く!
理想的な企業だと思います。工場のような大きな固定資産を持たず、オンリーワンの知的財産を持ち利益率が高い。利益の再投資先も更なるオンリーワンの高度な技術へ
しかも、スマホにおいてシェアはほぼ100%。私のスマホにも貴方のスマホにもARMの製品が入ってます。
ARMは今後のIoT(モノのIT化)においても期待されています。孫社長が目を付けたのもここ
コストがかからず、利益率が高い、そして今後の世界のトレンドにも乗っている。そりゃ買収額が3兆超えますわって話。
孫社長はなぜARMを”今”買ったのか?
孫社長は、今後の世界は大きく変化すると見ています。
具体的には
- あらゆる目的のロボットが実用化されその数も爆発的に増えていく
- 人口知能(AI)がディープラーニングによって飛躍的に賢くなる(人間をも凌ぐほどに)
簡潔に言うと、全ての電化製品はネットに繋がり連携して人間を凌ぐほどの知能を持ったAIを搭載したロボットが人間のサポートをする未来がすぐそこにやってくるということです。
ソフトバンクは、pepperを作っていますし確実にその未来に向かっています。(私もこの前NHKスペシャルを見て驚きと共にリアルにその未来を感じました)
そして、その未来の鍵を握ると思えるのが今回買収した「ARM」です。
「ARM」はスマホやカーナビ、ウェアラブルの分野でインテルすら寄せ付けない企業です。孫社長の頭には確実にこの連想があるでしょう。
しかし、ソフトバンクの現在の税引き後利益は5000億ちょい・・・そんな企業が3.3兆の買収は普通無謀です
それでなくても元々ソフトバンクは借金企業ですし 笑
だからこそタイトルで書きました。いくらARMが超優良企業であってもこの買収は孫社長にとってもギャンブルであると。
現在の利益水準ではとてもじゃないけど今回の買収費用は出ません。今後も大成長をしていかないとお金が返せない状態です。
孫社長はだいぶ前からARMに目をつけていたみたいです。それなら、もっとソフトバンク自体も大きくなって無理の無い範囲での買収のタイミングを計っても良かったはず(まーARMがもっとデカクなってしまうこともありえますが・・・)
それが何故”今”買収に踏み切ったのか?
それは多分、Brexitのせいだと推測します。
英国のEU離脱によって英国国内の弱体化、企業環境の悪化が起きたとしたら「ARM」内部ももしかしたら弱体化しないか?
優秀な社員の引き抜きや他の外国企業によるARM自体の買収に乗り出しやしないか?
そんなリスクを感じ「今のうちに手に入れる!」と孫社長は手を挙げたのでないか?と私は推測します
孫社長のギャンブルは、「確実では無いし身の丈に合った金額ではないが、自分の見通す未来への方向性に乗っておりその分野で圧倒的優位にいる企業を買った」ということです。
これまでもソフトバンクはM&Aで大きくなって来ました。その経験から予測の精度には自信を持っているでしょう。
このギャンブルが吉と出るか?凶と出るか?それは誰にも分かりません。
しかし、孫社長自身はもしかしたらこのギャンブルでも8割以上は勝てると睨んでいるのかも・・・そんな凄みを感じた今回の買収でした
孫社長のギャンブルに乗りたい人はソフトバンク株を買うのも一興。
私の基準では絶対買わない企業ですが、経営者のカリスマ性やビジョンに引かれる気持ちは分かります。1単元だけならギャンブル株として持ってもいいかなーと考えた今日この頃
※ たまたま同じタイミングですぽさん投資ブログでも孫さんについて言及されてました。孫さんに対して似た理解なので是非読んでみて下さい。