
先日、メルマガをカフェで書いていたんですが、その時隣の席で繰り広げられていたやり取りが面白かったので記事にします。
マルチ勧誘マニュアル
隣で繰り広げられていたのはどうやら就職面接。
40代と思われるトッポイオッさんは妙にフレンドリーな感じで、もう一人はスーツを着ている垢抜けない感じの若者でした。席の近いドトールでは彼らのやり取りは否が応でも聞こえてきます。
聞いていてすぐに面接なのは分かりました。しかし、そのノリに違和感があります。
「ん?この雰囲気どこかで感じたことあるぞ・・・」
最後までやり取りを聞いてみて私は理解しました。
「これはマルチの勧誘と同じだ!」
謎の営業会社に気をつけろ!
話を聞いているとどうやら営業会社の面接のようです。
そして、求人の募集は正社員としてセールスマンの募集とのこと。
しかし、話の流れは初めから
「独立がどうの」「ビジネスオーナーがうんぬん」「若くて成功しているなんちゃら」「マセラッティに乗りたくない?」「ハワイに社員旅行行きたくない?」「一般人の何十倍のスピードで成長ファイヤー」「君、経営者の素質がアルシンド」・・・・・
というウェイウェイ系なお話。
その時点で私は思いました「あれ?これマルチじゃね?」
隣で繰り広げられている話の流れがマルチ勧誘と全く同じなんです。
- 我は成功者でございという演出(成功イメージのごり押し)
- 人生で達成したい夢を聞く(ターゲットのセルフイメージも雲の彼方へ)
- 若くして成功している人のご紹介(短期間&お手軽感の演出)
- 世間一般とは違う圧倒的スピードで充実した人生を送ろうぜ(富、女、自由という欲望を刺激)
- 君はその素質があるよ(特別感の演出)
- これまでの失敗体験を語る(コンプレックスを刺激&逆転の欲望)
- 本気の確認(自己責任の強調。勧誘側のとって、やる気がないと上手くいかないという逃げ道確保)
- クロージング
ざっくり書くとマルチの勧誘はこんな感じ。随所でわざとらしい演出が入ったり、歯が浮くようなお世辞、賞賛が割り込んできます。
さて、この営業会社ですが、私が聞く限り正社員のセールスマン募集で求人を出しますが、面接に来た人に対しては上記のマルチ勧誘マニュアルを駆使し、個人事業主(フルコミッション)で経営者として夢を追わないか?という流れに持って行っているようです。
結果的に、この営業会社は正社員として雇う人件費を負担せずやる気に満ち溢れた営業マンをゲット出来るという仕組み。これは正社員に付随する社会保険料や解雇のハードルを無効化できる上手いやり方です。
しかしながら、面接に来た若者はやる気を搾取されているだけ。しかも世間知らずなのかいちいち真剣な相槌とメモを欠かさず胡散臭いオッさんの話を聞いていて上記のからくりに気づいてない様子。
最後には、「自分も将来は社長になりたいと思っていたので、フルコミでやりたいと思います」とか言ってました。
心苦しいですが、彼の成功を祈らざるをえません。
転職者は気をつけよう
ただでさえ就職の条件が絞られる転職者には、美味しそうな話や一発逆転を狙える転職先が見つかるとホイホイと乗ってしまいそうですが、一度条件を考えてみましょう。
分かっていて自営業、フルコミでやるのは全然良いですが、本来正社員希望で面接に来たのに上手いこと言いくるめられて他の選択肢を提示されている感覚の時は要注意。
そんな場合は、一度持ち帰って近しい人に相談しましょう。
自分ではよく分からなくても人生経験がある人が見れば「こいつはブラックだぜー」というのはすぐに見抜けます。
以上、世間知らずの若者につけ込んでやる気を搾取する会社はなくなれば良いと思いますが、自衛もしないと被害は無くならないと思いますね。
今回、あまりにも典型的な嵌め込みパターンをライブで聴けてある意味貴重な体験でした。
やはり、人によっては面白いように引っかかるんですね・・・