
今日は、先日の記事にコメントを頂きその返信が長くなったので別記事にしました。
なぜ日本人は資産運用に踏み出せないのか? | assets人生
ssbrain より: 2017年1月21日 12:06 AM 編集 初めてまして。投資だけでなく、セールスなど有意義な記事も多く良く拝見させて頂いています imoekatさんのような主張は度々目 ...
参考
コメントはこちら
ssbrainさん、コメントありがとうございます。
こちらの記事を返信と代えさせていただきますのでよろしくお願いします。
この視点からの反論はツイッターでも貰ったので、この記事では少し詳しく考えていきたいと思います。
Contents
日本人の投資嫌いは突出している
まずは、データの確認です。
❶
世界の個人金融資産の内訳比較
世界各国の個人金融資産内訳
❷
以上、二つデータを挙げました。
❶では、各国の個人金融資産の内訳の確認です。
ちょっと古いデータなので、2014年末のものも載せておきます
ぱっと見で分かると思いますが、日本の現金・預貯金率は突出しています。
ちなみに、ユーロ圏の保険年金準備金は日本とは少し内容が違って、日本では基本的に元本保証の低利回り商品がメインですが、ユーロ圏は、変額保険や、確定拠出年金などで日本より積極的に運用しているようです。これも考えあわせると、日本人の元本保証資産の比率の大きさは更に広がることになります。
この個人金融資産の比率に関して、「単純に各国のマーケット推移の影響によるのではないか?」というのがssbrainさんの主張だと思います。
❷の金融レポートでは、日本人の投資嫌い、積極的無知の傾向がデータとして示されています。
約7割の国民が投資教育とは無縁であり、そのうちの3分の2が「金融知識なんて自分には必要ない」と答えています。
この積極的無知層は、例え株式市場が右肩上がりでも「投資」なんてしないと答えそうです・・・
文化、歴史、思想の視点
ssbrainさんの主張は確かに一理あると思います。
自国の株式市場の調子が良くないので「投資」はしたくない。
右肩上がりに株式市場が伸びているのであれば、儲ける人も増え、「投資」が一般的になるのではないか?
理屈では確かにそうなると思います。
ただ、それだけで上記の日本人の投資嫌いが全て説明出来るのか?
私は、少し足りないと思います。
コメントに「日本以外の殆どの国のマーケットは右肩上がりだ」とありましたが、私が把握している限りそんなことはありませんでした。
例えば、フランスやイタリアなどはここ20年ほど横ばいです。上がったり下がったりを続けています。贔屓目に見ても右肩上がりとはとても言えない気がします。
更に、「株式市場の調子が良ければ、投資人口は増えるはずだ」という論に従うとすれば、ここ数年のアベノミクスによる株式市場の上昇により投資人口は増えていなければいけませんが、データを見る限り個人金融資産の投資比率が顕著に伸びた痕跡もありません。平成27年の金融レポートを参照すれば相変わらず「投資嫌い」のままです。
少しコメントの主旨からはズレるのですが、個人的には”あるマーケット”の基準とするスタートから現在までのチャートが調子良くないからといって、投資家全員が損しているとするのは乱暴かと思います。
例えば、ドルコスト平均法でちょこちょこ買っていく投資法であれば、株式市場が右肩上がりでなくとも利益は上げられますし、決して日本市場に法規制などで縛られているわけでもないので投資しようと思えば世界の選択肢もあります。
この枠の中は余談です。
ssbrainさんの反論の主旨、「そんな投資法を考えたり、株式市場に参加する以前に、周囲を見たり新聞、ニュースなどを見て感じる株式市場の調子が良くない→損をするイメージが投資意欲を欠いている」という点は理解しております。
日本のこれまで
日本は、”世界で唯一成功した社会主義国家”とも揶揄される通り、一億総中流を達成した国です。
あれは幻想の時代でした。
世界の歴史上どこも達成したことのない偉業だったと思います。
あの時代、雇用は保証され、給料は右肩上がり、貯蓄さえしていれば6%以上の利回りが付き、不動産も上がり、多額の退職金も保証され、老後は年金で安泰・・
雇用も給与も家も貯蓄も年金も全て「元本保証」の時代でした。
その通り生きていれば損する確率が非常に低い。
更に、周囲の人も皆同じようにしていたので、あえてリスクを取り「投資」する必要はありませんでした。
おそらく、その時代に「株式投資をする」ことは、より大金を得たいと考える強欲な人に限られていたでしょう。
少なくとも、一般人は「株をやる人」をそう見ていたと思います。
また、国民にリスクは取らず「労働」「不動産」「貯蓄」のみに邁進せよと国もそれを奨励しました。(持ち家や企業退職金の税優遇、銀行や企業との関わり上暗黙に)
一般人は「株式投資」なんてリスクを取らなくても一生懸命働いて、家を買って、年金を払い、貯金だけしておけば将来安泰なのにギャンブルする必要はないでしょ
と思っていたと思います。
実際、大きなリスクをとる人だけがあえてこの時代「株式投資」をやっていたと思うので、「株で破産」も多かったはず。
ここで、「株」をやる人=ギャンブラーというイメージが固定化した気がします。
ここで確認したいのは、日本人の「元本保証」への過度な傾倒です。
「企業も国も裏切らない皆んな家族だ」日本は長らく「約束の時代」だったのです。
長期間安定していた日本
日本は、島国ゆえ外敵からの侵攻がほとんどありませんでした。
また、国内でも太古の昔より革命などによって支配者は変わらず(名目上ですが)、戦国時代に少し為政者が変わるのみ。
それでも欧州などと比べると歴史上戦乱がとても少ない国です。
つまり、上が変わらない。日本人の担ぐべき存在はいつも同じで安定している。
「お上」への信頼感がとても強い。
「お上がなんとかしてくれる」という意識が日本人には顕著です。
一方、ヨーロッパを筆頭に支配者がコロコロ変わる歴史を歩んだ国は、支配者への信頼なんて希薄です。明日には変わっているかもしれない・・
つまり、自助努力が必然と養われます。どんな支配者になっても生きぬかなきゃいけない国の国民は自分で将来のリスクを回避しなきゃいけないですし、何か自分で対策を講じなきゃいけない。
この、「お上」への信頼感の違いが「現在の投資意識」にも繋がっているように私には思えます。
日本人は、「国や企業が何とかしてくれるべき」という意識が強い。
ヨーロッパ人やアメリカ人は国や企業をそこまで信用していないので、自分の資産は自分で作ることを意識しやすい。
当然、リスクを取ることに慣れている国民であると考えられます。(中国もですね)
思想においても、「貴穀賎金」という思想が江戸時代に流布され、「お金を稼ぐこと=卑しいこと」という意識が強められています。
「投資」はお金を求めることであり、労働の美徳に劣るという思想が未だに支配的なとこもあります。
以上、
経済、歴史、思想、文化など色々なものが複雑に絡み合って現在の日本人の「投資嫌い」は形作られてきたと私は考えています。つまり、「日本」という個別要因が強く関わっていると考えています。
より大きな視点からの経済論理である、株式市場が冴えないから日本人は投資しないという一面からのみでは、少し足りないかな・・と
もちろん、これは私の現在到達している結論なのでまだまだ反論はあると思います 笑
宝くじに関しては、「金融リテラシーの欠如」が強く関わっているように思います。
海外にもロトなど宝くじはたくさんありますし買う人も多いですが、主に買っている人は金融リテラシーの低い層でしょう。
平成27年度金融レポートにもあるように、日本人の金融リテラシーは物凄く低いです。
だから日本人は宝くじをよく買う。という結論ですね。
実際、私の近所では宝くじシーズン?には販売所に長蛇の列が出来ているのをよく目撃します。笑