〔映画〕マネーショート 感想
スポンサーリンク

こんばんは、imoekatです。

今回は、映画「マネーショート」を見た感想です

率直に言って私はとても面白かったです。

基本はアメリカ住宅市場破綻の可能性に気づいた人の視点から語られた映画です。

 

Contents

銀行、格付け会社のいい加減さ

この映画を見て唖然とするのは、大手金融機関、大手格付け会社のデタラメな仕事っぷり。

当時、私は既に株式市場に漂っていましたので当時の市場の雰囲気は覚えています。

何やらリスクの高い債権がパッケージングされ、更にそれを細かくバラバラにされたモノを世界中の金融機関にばら撒かれていたというニュースが流れました。

そして、その火種はアメリカの住宅市場だというもの。

当時の私には「アメリカの住宅市場」と「世界中の金融機関の危機」はつながりませんでした。

この映画ではそこからしっかり説明が入ります。

簡潔に言うと「クズ(審査なしで貸し付けたローン)をまとめてリスク軽減されましたとアナウンスして更にそれを細かく分割して金融機関に売りまくったんです。」

もっと噛み砕くと「小さな時限爆弾を中身を偽って世界中にばら撒いた」という感じ

もう始めから色々な(?)が浮びます。

  1. 信用の低い人にも実質無審査でローンを組んでいる
  2. ローンを組んでいる人も自分の債務の中身を知らない
  3. リスクが高いものをまとめて、それを分割するとリスクが減るという謎理論
  4. 債権の中身がいい加減(95%は優良といいながら根拠なし)
  5. 格付け機関は御用機関に過ぎない

ざっと挙げてもこれくらいあります。

この全てが当時のアメリカの空気では「常識」だったのです。

この映画で登場した数人くらいしか「異常」ということに気づいていませんでいた。(恐らく他にもいただろうけど相対的に少数であることは間違いない)

 

一般人代表マーク・バウムさん

この映画の注目して欲しい人はヘッジファンドマネージャーのマークです。

この人は、銀行の手数料目的のやり方に呆れ、格付け会社のいい加減っぷりに怒り、ウォール街の異常な常識に絶望します。

常に一般人の目線でリアクションしてくれて見ていて面白い

当時の状況を良く知らない人はこの人の視点を追うと何となく理解できるはず

 

現場主義の大事さ

マークはアメリカ住宅市場の破綻の可能性をネタにそのCDSを買わないか?と持ちかけられた時、部下に現場の確認をさせます

正にアメリカの住宅ローンの現場です。

そこで見た光景はストリッパーにいくつも変額ローンを組み、本人はその中身を知らない・・・審査なんてしていなく誰でもフリーパス・・・販売側はどんなにダメな客に売ったか?を自慢げに語るなど

信じられないほどズサンで、デタラメな現実でした。その結果、マークはアメリカ住宅市場はバブルだ!!と確信します。

素晴らしい。投資家の鑑です。やはりマークに注目すべき

 

常識は「空気」に勝てない

この映画を見ていて思うのは「何故こんなになるまで放って置かれたのか?」です

普通の判断力、フェアにデータを分析できる人なら誰でもサブプライムローンの危険性。アメリカの住宅市場の異常さに気づいたはずです。

実際、この映画の主人公達のように「ヤバイんじゃね?」と思った人は沢山いたでしょう。

しかし、当時のウォール街の空気はイケイケで「は?何が危険なんだいboy」状態。データを説明しても「そんなネガティブな話いいよ。そんなことより・・」みたいな感じであしらわれる

格付け機関に至っては、「言われたとおりに格付けしないと顧客が競合に行っちゃうでしょ!」とぶっちゃけます。

 

世にも奇妙な世界

その結果、既にサブプライムローンで破綻した会社が出て住宅市場の崩壊の予兆が目に見えてきても住宅市場債権CDSの評価は変化しなかったのです。

データ、常識から言ったら既に住宅市場は崩壊だと評価できるのに、何故か世の中は「まだまだ大丈夫」と言っている・・

「もしかしてオカシイのは世の中ではなく自分じゃないか?」

と世にも奇妙な物語のような世界に陥ります。

実はこのタイミングでもまだ間に合ったんですよ。この映画の主人公達じゃなくても誰でも儲けるチャンスは有ったってこと。

でも、多くの人はまだ浮かれてました。

正に「愚者は盛事に闇く、賢者は未萌に見る」です

 

〔織田信長433年目の真実〕投資でも戦国でも超大事な思考法[資産運用] | assets人生
参考

スポンサーリンク

悲しい賭け

この映画の主人公達はアメリカ経済のそして世界経済の崩壊に賭けています。

将来の巨大な利益を期待してはしゃぐ若者にブラッド・ピット扮するベンはそれについて

「俺たちが勝つということは沢山の人の命、年金、家、職業、を失うことを意味するんだ」と説教しました。

実はこれがこの映画の肝で。

主人公達はこの賭けに勝った時カタルシスは感じません。どこか虚しく、ツケを払うのは何も知らない一般人。世界は変わらない

確かに大金は手に入るが、そこまでの経緯で社会のクソっぷりを見せ付けられます。こんなデタラメでいいのか?と何度も怒ります

恐らく今後も腐った空気に感染しバカな常識がまかり通るでしょう。その上その腐った世界の崩壊のツケは庶民が取り、その後も世界は変わらないという流れを予感し主人公達は虚しさを感じているところで映画は終わります。

 

 

この映画を楽しむ為に

恐らく、この映画を100%楽しむためには「サブプライム問題」それに続く「リーマンショック」の一連の流れ、原因、専門用語を知っている必要があります。

ここでこの映画の評価は大きく変わると思われる。

事前にチェックした時に「つまらない」とか「眠くなる」「意味が分からない」と言うレビューを見かけましたし。(個人的にはわざわざそんなレビューを残すことは「自分は経済が分かりません」と暴露していると同義なのでやめたほうがいいと思いますが)

もしこれから見る予定の人は、予習をおススメします。

 

邦題のダメさ加減

この映画の邦題を付けた人間は中身を見たんでしょうか?

マネーショートはまあ許せます(意味は良く分かりませんが)。しかし、サブタイトルの「華麗なる大逆転」て・・

映画を見れば華麗な大逆転など無いことは理解できるはず。

むしろ、「悲壮感漂う勝ち」で華麗さとは真逆ですよ

どうもギャンブル、マネーゲームというイメージを持たせたい意図が見えてなんか嫌。

まあマネーゲームなんだけど、この映画の本質はそこじゃない

 

以上、経済に興味のある人は是非見るべき。

サブプライム→リーマンの流れを知っていると更に面白く見れます。

知らない人も少し専門用語の勉強をしてみれば歴史の勉強になります

観る前にこれを知れば『マネー・ショート』がもっと面白くなる!5つの経済用語 | FILMAGA(フィルマガ)
専門用語
こちらのサイトがとても分かり易いですよ

 

では、また

スポンサーリンク
コメント一覧
  1. 解りやすいレビューありがとうございます。

    「俺たちが勝つということは沢山の人の命、年金、家、職業、を失うことを意味するんだ」と説教しました。

    この部分すごく共感します。・・。私はアメリカの覇権はまだ当分続きそうなこと、たいして日本の将来に悲観的で、最悪の場合円の暴落もありえると考え、それに備えてドル資産を金融資産の半分くらい持ってますが、持っててよかった~という日は永遠に来ないでほしいですよね。

    またお金貸したほうが金利取られるとか、資本主義の要であるはずの金融機関の経営にじわじわとダメージを与えるマイナス金利とか絶対おかしい。意味わからん。普通に考えたらこう考えるのが当然なばすなのに、株価を維持するためにさらなるマイナス金利の拡大を催促する今のマーケットは異常です。

    異常な金融緩和のいきつく先はやっぱり今回も

    恐らく今後も腐った空気に感染しバカな常識がまかり通るでしょう。その上その腐った世界の崩壊のツケは庶民が取る

    こうなってしまうんでしょうか。やりきれないです

    • sunさん こんばんは

      分かりやすくて良かったです!
      なんだかんだアメリカは強いですよね。政治も軍事も経済も全て揃っているので、しばらくはチャンピオンでしょう
      同じくドル資産を私も持っています。

      仰るとおりマイナス金利は資本主義の根幹の否定に繋がりかねない異常な状態ですよね。
      世界中のマネーが滞留しているので、どこで何がバブルになるか分からない・・かも?
      人間は基本的にアホで狡賢いのでサブプライムと同じような流れになる可能性は大いにありますねー
      やりきれません

コメントを残す

関連キーワード
趣味の関連記事
おすすめの記事