[資産運用]持っているモノを価値のあるモノに柔軟に変えていこう
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本日は、貨幣の「新」世界史という本のご紹介

先日少し記事にしましたが、その時はまだ読んでいる途中だったので改めて感想を交えて書きたいと思います。

 

 

Contents

貨幣とは

「貨幣」には様々な側面があります。

この本を読むと、改めて断定的にこれだ!という定義は難しいと思いましたね

 

「光合成」「捕食」「寄生」「共生」

「貨幣」の起源を遡るために「原始生物のエネルギー交換から見よう」とこの本の著者は提案します。

私たち人間も含む生物は、お互いに何かを交換して生きていますよね

例えば、「共生」は一方の生物の陰でおこぼれを預かり、その対価として身体の掃除をしていたりという交換関係で成り立っています

 

つまり「何かを提供して、何かを得る」

そこには生物の多様な戦略が隠れていますが、単純化するとそういうことです。

この「何かを提供して、何かを得る」ことを媒介するモノが「貨幣」ということになります。

前回の記事でも言及したように「貨幣」の成り立ちは、この提供されたモノ対する「債務」だった可能性が高そうです。

人間の経済活動においても、一方が一方の必要性を満たした時に対価としての債務が発生します。

一方的に利益を得る関係もごく稀にありますが、それは長続きしません。(搾取ってやつです)

基本的にWIN-WINが原則。

そして、そんな取引をする場合、その関係は当然親しい間柄でなければ成り立ちません。

この取引を媒介するモノは「信用」であり「義務」です。

現代にも残るこれに似た「贈与関係」の代表的な例として、この本では日本の「お歳暮」「お中元」の例を挙げていました。

お互いの関係性を維持しながら、相互に交換するしきたりです。(最近は廃れてきているようですが・・)

 

「貨幣」は、上記のような「信用」の成り立たない関係における取引や、「返還されない債務」に対しての取り立てとして使われ始めました。(この前の農作業のお返しに、収穫された「麦」を返すとか)

諸説あるようですが、概ねこのように「貨幣」は産まれ、その後は常に「価値の象徴」として存在しています。

 

 

ハードとソフト

「貨幣」は大きく分けて二つの側面があります。

一つは「何か具体的な形あるモノを裏付けとした価値により担保される」=ハードな貨幣

一つは「具体的なモノを裏付けとしない信用により担保される」=ソフトな貨幣

 

ハードな貨幣

「ハードな貨幣」の代表的なモノは「金」ですね。

歴史的には「小麦」だったり「塩」だったり「銀」だったりと、その時代に価値のあるものがその地位を占めてきましたが、最も長く価値があるとされているのは「金」になります。

「金」の価値を担保しているのは、その希少性です。

決まった量しかこの地球に存在しないからこそ「価値」を持つということですね

「価値」とは「皆が欲しがる」ということでもあります

希少性があるからこそ皆が欲しがる。

つまり、ハードな「貨幣」には流通に限界があるゆえに、価値は損なわれにくいという特徴を持ちます。

 

ソフトな貨幣

ソフトな貨幣は、現在の「円」や「ドル」のことですね。

ひと昔前の世界の貨幣は、「金」との交換を保証されており(兌換紙幣という)上記の「ハードな貨幣」でした。

しかし、経済の発展と共にその特徴である流通の限界を迎え、「金」との交換を保証できなくなってきます。

その結果、ニクソンショックが起こり世界の貨幣はハードではなくソフトに転換されました。

つまり、「国家の信用」を裏付けとした貨幣になったのです。

 

ソフトな貨幣の特徴は、いくらでも流通させることができること。

一方で、その裏付けとなっている「国家の信用」が揺らぐと価値は暴落します。

「希少性のある金属」という具体的な現物価値は存在せず、カタチのない「信用」を裏付けとしているのでフワフワ揺れ動き、もの凄く振れ幅が大きくなる。

つまり、「ソフトな貨幣」は本質的にバブル的なのです。(以前の記事でもちょっと言及してます)

 

経済の発展、人類の進化とリンクする

「貨幣」は、人類の進化にもリンクしています。

商取引きはどんどん複雑になり、人間の生活圏も広がってきました

それに合わせて、取引を媒介する「貨幣」も変化せざるをえません。

(その過程で「悪貨は良貨を駆逐する」ということも起こっている)

むしろ、貨幣が進化したからこそ人類の発展、進化がうながされた面もあるようです。

経済はソフトな貨幣を取り入れると大きく発展するということが歴史的にわかっています。

経済を拡大することが資本主義でもあるので、現在の世界の流れはハード→ソフト。

(ただし、信用不安が起きると一時的にハードな資産が買われます。証拠に世界恐慌の度に「金」価格は上がっている)

言い換えれば、貨幣はどんどん見えなくなっていく方向にあります。

 

これは、現在顕著に確認できる現象ですよね?

どんどん「現金」を使用する機会は減少し、電子商取引、クレジットカード決済の比率が増して

ネットを通じての送金や商取引きなんて、ほぼ通帳の数字の移動だけです。

実物の現金を見る機会が一昔前に比べて格段に減りました。

今後もこの流れは加速すると思われます。

 

そうなると貨幣の未来はどうなるのか?

この本では、3パターンほどシナリオを提示しています。

細かくは説明しませんが、簡単に紹介すると

「大きな信用不安が起き、ハードに回帰する。しかし、経済は低迷。」

「ビットコインなどテクノロジーを利用した新たなソフトな貨幣の利用。」

「他の惑星から新たに希少金属を発掘し新たなハード貨幣が利用される。」

「貨幣は共有されるようになり、大きな信用経済が構築される」

などなどです。

 

 

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価値あるものへの交換

この本では、本当に色々な側面から「貨幣」のことを考察しています。

この記事で紹介した内容はほんのごく一部。

他にも「象徴としての貨幣」「悪貨は良貨を駆逐する歴史」「宗教指導者の足るを知るという教え」「貨幣の宗教的側面」「貨幣の心理学的側面」などがありそれぞれ面白いです。

単純に知的好奇心を満たせるので、そういうのが好きな人には特にオススメ。

 

さて、私は長年資産運用をしています。

その目的は「保有する価値あるモノの増加」になります。

保有するモノは、別に株である必要もないですし、不動産である必要もありません。

もの凄く単純に言えば、資産運用とは「価値あるモノへ次々と交換していくこと」になります。

 

見てきたように、「貨幣」は本質的に不安定です。

現代で言えば「国家の力」がその源になりますので、今後の世界の動きも大事な要素ですし、歴史も知っておくに越したことはないでしょう。

今後は、どの国の貨幣を持つべきか?

 

また、ハードな資産の方が価値は変化しづらいです。

値動きはゆっくりですし、大きく暴落もないが暴騰もしないのがハードな資産。

更にソフトな資産が揺らぐ時、ハード資産は値上がりします。

バランスとしてハード資産とソフト資産はどうすれば良いか?

 

そして、将来の経済体制、貨幣のあり方、テクノロジーの進歩・・これらを考えていくことも必要になりそうです。

もしかしたら、数十年後のメインで流通する貨幣の形は「円」や「ドル」ではない可能性もありますので。

また、文化的、宗教的象徴の表れとしての貨幣には、本来の流通価値以外に芸術的価値も生まれます

これは個別要因のハード資産とも考えられるもので、もしかしたら芸術的価値の高いコインなどを保有することも選択肢として上ってくるでしょう。

 

最後に、原点を見直せば「貨幣」の起源である「信用」を基盤にした経済の台頭もありえます。

人間である以上、人との関わり合いの中生きることになりますので、「人間的魅力」「信用」が大きな価値を持つことも実感するところ。

労働力という具体的な価値以上に人的資本にも複雑な価値があるということですね。

お金だけ持っても人間的に魅力のない人にはなりたくないものです。

何より、大異変が起き金銭に換算されるモノが軒並み「価値なし」となった場合、そんな信用の無い人はどうしようもないので、リスクヘッジが甘いと言わざるをえません。

 

 

以上、ごちゃごちゃ書いてきましたが「貨幣」について、そして「価値」について様々な側面から考えるきっかけを与えてくれる本だったと思います。

 

もし、あなたが資産運用をしているのならより広い視点から、今後「価値が減ると考えられるモノ」から「価値が上がると考えられるモノ」に変換していくことを意識するといいと思います。

保有資産も考え方も何かに固執することは不利でしかありません、柔軟にハード面もソフト面も変えていきましょう。

 

 

 

 

 

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