
こんばんは、imoekatです。
本日は、株主優待、高配当銘柄について切っていこうかなと思います。
Contents
結論から言うと”株主優待、高配当銘柄は既に資産を持っている人向けの株、利回りを求めるならむしろ低配当銘柄”
まず本論に入る前に、先日おススメした本の補足
こちらの「MBAバリュエーション 森生明 著」ですが、先日ご紹介した以外にも、投資、企業評価において「共通言語」となる言葉、指標を知れるという意味でも有用です。
他の投資家、金融機関のレポートなどを読む時、ディスカッションする時にもその「共通言語」となる言葉、概念を知っているのと知っていないのとでは、理解力が雲泥の差になります。
このブログでも、「現在価値」「割引率」「キャッシュフロー」「リスクプレミアム」など投資において基本的な言葉がちょこちょこ出てくると思います。
もう1つ重要な概念が PV=C/(r-g) という式
これは、実は全ての投資において利回りから現在価格を出す為の式なのです。
例えば、不動産投資においても、PV=購入予定価格 C=年間キャッシュフロー (r-g)=期待利回り *キャッシュフローの成長率はゼロとする。
このように使います。購入を考えている物件の年間利回りが100万円、期待利回りを10%とした時のその利回りを達成する為の購入価格は、100/0.1=1000万となります。
以上のように投資においての共通言語は知っておいて損はないですよ
補足終わり
株主優待、配当の原資は?
では、本論
まず基本的なことを確認しておきましょう
「株主優待、配当」はどこから出て来るでしょうか?
答えは当たり前ですが「純利益」からですね
更に言えば、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを引いた「フリーキャッシュフロー」からです。
ここが一番肝心!ここを忘れないで下さい。優待、配当を出すには余裕のあるフリーキャッシュフローが必要なのです
良い高配当企業と悪い高配当企業
実は、優待、高配当企業にも2つあります。
①「とにかくキャッシュがあまっていて有望な投資先もないし溜め込んでるとROE下がったり煩いから株主還元でもしとくかー」という良い意味でも悪い意味でも落ち着いた企業パターン。
②「企業成長の為に株価維持目的で、株主に良い顔しとくかー」という野心的な企業パターン
①の企業パターンの場合は、業績アップ&株価の上昇も見込めないけど毎年安定して優待、配当を出してくれます。更に後で述べますが株価の下落にも強い傾向があります。
②の企業パターンの場合、優待、高配当をもらいながら企業成長の結果、株価上昇大きなキャピタルゲインも狙うという贅沢な目的になります。・・・これちょっと聞くだけで厳しい気がしません?
②の企業の問題点
高成長高配当企業の問題点は、その内包した矛盾に有ります。
高成長企業というと、ガンガン売上を伸ばしているとこでそこにはそれ相応の投資も必ず必要になります。
つまり、営業キャッシュフローも多いかもしれませんが、それ以上に投資キャッシュフローも大きくなり、だいたい高成長企業は有利子負債で投資キャッシュフローの穴埋めをしています。
(営業ー投資+財務)という形。この形(営業ー投資)≦0 なんですよ。
どこに配当、優待を出す原資があるのでしょう?
それは還元すると財務キャッシュフローから。つまり借金から株主へ還元している状態なのです。
例えて言えば、タコが自分の足食べてる状態ですよ。毎月配当型投資信託も同じですねほぼ全ての投信は元本食って配当を支払っていますから。
高配当、優待銘柄は株価下落に強い?
巷で、このようなことも言われています。
優待、高配当銘柄は株価下落時に大きく下げない。今回の暴落でも軒並み株価が下がってましたが、優待、高配当銘柄は思ったより下げなかったという「優待エアバック」効果があったようです。
この説ですが、実は上記の①の企業パターンだと当てはまります。
①の場合、安定した事業をしており簡単に営業キャッシュフローは落ちません。もともと投資もほとんどしていない企業なので余計な出費もありません。
ですので、暴落時でもフリーキャッシュフローは基本+を保てます。
①の企業は優待、高配当を出す原資は確保できるのです。
優待、高配当がほぼ約束されているのであれば、株価が下がれば相対的に配当利回りは上がるのでそこに魅力を感じ、購入する人も出てきますよね?
これが思ったより下がらない理由です。ポイントは優待、配当が維持されるということ
②の場合は、今回のような暴落時に本業が大きな影響を受けやすいです。
そうなると営業キャッシュ激減。しかし、成長の為に投資は変わらずしなければいけません。さらに借金を重ねる図になります。
こうなると、株主還元どころではなくなってきます。キャッシュがないんですもん。
営業キャッシュの激減が一時的であればまだ傷は浅く、一時減配で収まるかもしれません。
しかし、そもそも家計は火の車で借金で株主還元を行っているような状態の企業に「優待、高配当の維持」が約束出来るでしょうか?
(勿論、成長企業の中には財務バランスもよく本業も順調に伸び、投資キャッシュフローも営業キャッシュフロー内で賄え、健全な株主還元をしている企業も極少数ありますが絶滅危惧種と考えてください)
この不安が出て来るといわゆる「優待エアバック」は効かなくなります。そして、実際に配当、優待廃止になったら地の底まで叩き売られるでしょう。
以上のように②の企業に優待、高配当目的で投資するのは、トータルで考えて非常にリスクが高いといわざるを得ません。
資産を増やしたいなら狙うはキャピタルゲイン
ぶっちゃけ、資産を増やしたいなら狙うはキャピタルゲインです。
ちまちま配当、優待を受けていても資産は築けませんよ。
株式投資をするくらいなら当然リスクプレミアム分の余剰利回りを求めるはず
数%の利回りなら元本保証じゃなければ投資妙味ないでしょう。
優待なんて良くて数千円。配当も良くて3%ほど
こんなの値動き1日で吹っ飛ぶレベル。
特に今のようなボラティリティの大きな時期は1日で受け取る優待、配当の何倍も株価が下落します。
それでも貴方は喜んで優待、高配当株を買いますか?
見るべきは収益の成長
株価は、長期的には収益に倣います。
キャピタルゲインを狙いたいなら収益が成長する企業に投資しなければいけません。
そして、収益を伸ばすには投資しなければいけないんです
極論、株主還元なんてしてないで、本業の売上、収益を伸ばす方に力を入れて貰ったほうが私達株主の利益にもかなうんです。
1つ例を出しましょう。
ここに利益1億、配当率30%でROE10%の企業があったとします。
この企業が株主に払う配当金は3000万です。(話しを簡単にするために受取株主は一人とします)
配当金には税金がかかり20%をもっていかれるとします。実質手取りは、2400万円です。
次に、企業がそのまま配当を支払わないで投資に回した時のことを考えてみましょう。
3000万は税金もかからず再投資されます。ROEが10%なので来年、配当に回るはずだった3000万は3300万になります。
一方、株主は受け取った2400万の配当金を再投資したとして、3300万にするにはどれだけのパフォーマンスを上げなければいけないでしょうか?
答えは、37.5%です。
配当に回さないで企業に比較的安定的に10%で再投資してもらった方が全然楽に高利回りを出せるのです。
配当を受け取った場合は、税金で持ってかれ更に37.5%という高利回りの投資先を新たに探さなきゃいけなくなります。
私が、配当が嫌いな理由が分かったでしょうか?
安定的に高ROEの企業に投資している場合、配当なんかでもらうより全額再投資してもらい将来の株価で還元してもらったほうが合理的なのです。
資産を築きたいなら、むしろ低配当、極端に言えば無配の企業の方が可能性が高くなりますよ。
最後に「優待、高配当銘柄」を買うべき人について話すと、
既に資産を築いており高い利回りは求めない。安定的に優待ご褒美と3%前後の利回りさえもらえれば生きていけますというような人ですね。
本当に勘違いしている人が多いですが優待、高配当銘柄でハイパフォーマンス、資産なんて築けません。悠々自適なお年寄りが似合う株なんです。
以上、「優待、高配当銘柄」についてでした。参考になれば幸いです